シルクスクリーン

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シルクスクリーン

シルク印刷(Screen printing)は、孔版画の技法の一種であり、インクが通過する穴とインクが通過しないところを作ることで版画の版を製版し、印刷する技法です。 孔版画の「孔」とは「突き抜けた穴」の意味です。孔版画にはたくさんの種類の技法が存在しますが、特に歴史が長くよく知られているものは、ステンシルと、ここで説明するシルクスクリーンです。一般的には、透けて見えるような網目の布のことを、英語では screen または mesh と呼び、日本語では「紗」と呼びます。 しかし孔版画の世界の言葉では、英語でも日本語でも、版に使う網目の布のことをメッシュ(mesh)と呼ぶことのほうがスクリーン(screen)と呼ぶことよりも多いです。昔は絹の布が孔版画のメッシュの材料として使われましたが、現在ではさまざまな材質のメッシュが使われています。絹は耐久性に欠けるため、合成繊維が実用化された後は、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維の布が孔版画のメッシュの材料として使われるようになりました。

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シルク印刷の利点

設備がオフセット印刷よりも小規模

製版、印刷に必要な機械・設備が、オフセット印刷よりも小規模で安価である。これがスクリーン印刷が普及したもっとも大きな理由である。ただし、版の耐久性はオフセット印刷には劣るので、大量印刷には向かない。商業向けのスクリーン印刷用の設備は、使わないときにコンパクトにして保管することができず、一般家庭に置くには大きすぎる。日本の一般家庭に普及したプリントゴッコは、日本の狭い住居に置くにも困らないほどの、コンパクトな大きさだった。


オフセット印刷ではやりにくい対象物への印刷が可能

印刷の対象については、紙や布、その他さまざまな素材への印刷が、適切なインクを選択することにより、可能である。布に対する印刷は、プリント布地やプリントTシャツの作成など、テキスタイルの分野で広く活用されている。


曲面印刷が可能

木版や銅版と異なり、版自体に柔軟性があるので、少々の曲面であればそのまま印刷出来る。最近は陶磁器や衣類に精緻なカラー印刷が安価でできるようになっているが、この場合いったん柔軟性のある紙やフィルムに製版され、それが対象に焼きつけられている。


たくさんの版を用意すれば、多色印刷が可能

原稿が、カラー写真のようなものであっても、元の色をCMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色)に一定の方法で分解すれば、4つの版で元の色を再現した印刷が可能である。いかなる色でもCMYKに分解する場合の方法は、あらゆる原稿に対して、常に一定の方法で行なってもかまわないし、原稿によって変える場合でも、ほとんどの場合、微調整の範囲内である。ある一つの原稿が単純な配色の図柄である場合は、色が同じ領域だけを取り出して、それぞれの色の版を作れば、多色刷りの印刷が可能である。多色印刷を行なう場合は、複数の版の位置を正確に合わせて刷らなければならないので、位置を合わせるための何らかの配慮や工夫が必要である。写真のネガを元に製版することも可能である。アンディー・ウォーホルが、写真を原稿にしてスクリーン印刷で製版する手法を芸術作品の作成に使った。 v

図像が反転しない

版のメッシュを通過して紙にインクが達するため、凸版、凹版、平版といった他の版画技法と異なり、版が鏡像にならない、つまり版の左右が反転しない。凸版、凹版、平版では、原画を鏡像にしてから、版を制作しなくてはならず、鏡像の版の間違いに気づかないまま刷るといった失敗の原因になりやすい。



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